野球肘

野球肘とは?(症状の概要)

野球肘(やきゅうひじ)は、成長期にある野球をがんばる子どもたち、特に小学生や中学生のピッチャーによく見られるひじのケガのことです。ボールを投げる動作を何度も何度も繰り返すことで、ひじに大きな負担がかかり、痛みが出てしまいます。この野球肘を放っておくと、将来にわたってひじがうまく動かせなくなってしまう可能性もあります。だから、早めに気づいて、しっかり治すことがとても大切なんです。

主な症状

  • ボールを投げている時や、投げ終わった後にひじが痛む

  • ひじを曲げ伸ばしすると、何かが引っかかるような感じがしたり、ひじが最後まで伸びなくなったりする

  • ひじが腫れていたり、触ると熱を持っているように感じる

  • ひじに力を入れると、うまく力が入らない

野球肘の始まりの頃は、少し痛いな、変な感じがするな、という程度の軽い症状かもしれません。でも、無理をして野球を続けていると、だんだん痛みがひどくなり、最終的には日常生活でひじを動かすことすら辛くなってしまうこともあります。

野球肘の原因|肘だけでなく、身体全体のバランスが鍵を握る

【1】繰り返しの投球動作によるストレス(局所的な原因)

野球肘の直接的な原因は、何度もボールを投げることで、ひじにだけとっても大きな負担がかかってしまうことです。特に、体がまだ成長している途中の選手は、骨や靭帯(じんたい)、筋肉や腱(けん)が完全にできあがっていないため、ボールを投げる時の強い力に耐えきれず、炎症を起こしたり、傷ついてしまったりしやすいのです。

  • 内側型(内側上顆炎・靭帯損傷):ボールを投げようと腕を加速させる時に、ひじの内側が強く引っ張られる力がかかります。この力によって、ひじの内側にある靭帯や、手首を曲げる筋肉などが傷ついてしまいます。

  • 外側型(離断性骨軟骨炎など):ボールを放す直後、ひじの関節がギュッと強く押しつけられることで、ひじの外側にある骨や軟骨が傷ついてしまいます。

  • 後方型(肘頭疲労性障害など):ボールを投げ終わって腕を振り切る時に、ひじの後ろにある骨(肘頭)が何度もぶつかり合うことで、骨や関節を包む膜が傷ついてしまいます。

これらのひじのケガは、「何度も繰り返しひじを使いすぎていること」と「体全体の使い方がうまくできていないこと」が合わさって起こることがほとんどなんです。


【2】なぜ肘に負担が集中するのか?|身体全体の機能不全

ひじそのものには問題がなくても、次に説明するような「体全体の動きのバランスが崩れている」と、ボールを投げる時にひじにとても大きな負担がかかってしまいます。

股関節の柔軟性低下

股関節が硬くて十分に動かないと、下半身で作られた投げるためのパワーを、効率よく上半身に伝えることができません。その結果、パワーを補おうとして、肩やひじが必要以上に大きく動いてしまい、負担が増えてしまうのです。

  • 特に、右投げの選手で右のお尻の関節(股関節)が内側に回りにくい場合、体が早く開きすぎてしまい、体をしっかりひねる前に腕を振ることになります。これがひじに大きなねじれの力を加えてしまいます。

  • 左のお尻の関節(軸足の股関節)が硬いと、ボールを投げようと腕を引いてから前に出すまでの間に、体を十分にひねることができません。その結果、腕だけで無理に投げようとして、ひじに余計な負担がかかってしまいます。

股関節が柔らかいことは、下半身の力を使ってボールを投げるために絶対に必要です。股関節の柔軟性を保つことは、野球肘などのケガをするリスクを減らすための大切なポイントになります。


体幹の安定性不足(コアの弱さ)

体幹(お腹まわりや骨盤の周りの筋肉)がしっかり安定していないと、ボールを投げる時に「力の伝わる道」がグラグラしてしまいます。そうなると、投げるときの体全体の動きがバラバラになってしまい、一番先端にあるひじや手首にばかり負担が集中しやすくなります。

  • 骨盤が前後に傾いたり、回ったりするのが不安定だと、ボールを投げる時の体の軸がぶれてしまい、肩やひじの位置も不安定になります。

  • 体幹の筋肉が弱いと、上半身と下半身が連動するタイミングがずれてしまい、肩甲骨や腕の動きのバランスが悪くなります。

体幹がしっかり安定していると、ひじをケガから守ることができます。この考え方がとても重要です。


肩甲骨の可動性・安定性の低下

肩甲骨は、肩やひじの動きと一緒にボールを投げる動作に関わる、とても大切な骨です。ここがスムーズに動かないと、肩やひじにかかる負担が一気に増えてしまいます。

  • ボールを投げようと腕を引く時や、加速させる時に、肩甲骨が内側に寄ったり、回転したりする動きが足りなくなります。

  • 前鋸筋(ぜんきょきん)や僧帽筋(そうぼうきん)、小胸筋(しょうきょうきん)といった筋肉のバランスが悪いと、肩甲骨がスムーズに動けなくなり、肩やひじで無理な動きをして補おうとしてしまいます。

肩甲骨から体幹、そして股関節までの体のつながりがうまく使えないと、その負担は必ずひじにきてしまうと言ってもいいくらいです。


成長期における筋力と柔軟性のアンバランス

  • 成長期の子どもたちは、骨がグングン伸びるスピードに、筋肉や腱が成長するスピードが追いつかないことがあります。そのため、体が急に硬くなってしまうことが多いんです。

  • 体が硬くなると、動きに制限が出てしまい、特定の場所(ひじなど)にだけ負担が集中することにつながります。

  • さらに、筋力のバランスもまだ未熟なので、ボールを投げるフォームが安定せず、間違った投げ方をしてしまいがちです。

特に中学生から高校に入りたての頃に、このようなタイプの子が多く見られます。この時期に、きちんと野球肘を予防するためのケアをすることが非常に大切です。


【3】まとめ|肘の症状=全身の動作エラーの結果

ひじに痛みが出ている場合でも、実はその原因は股関節や体幹、肩甲骨といったひじ以外の場所にあることがほとんどです。そのため、ひじだけを治療しても、野球肘の再発を完全に防ぐことは難しいのです。

アーク鍼灸整骨院では、国家資格を持った専門家が、体全体をしっかりと見て評価する「全体施術型のアプローチ」を徹底しています。そうすることで、「どうしてひじに痛みが出たのか?」という原因を突き止め、「どうすればもう二度と痛くならないか?」という再発防止まで考えた施術を行っています。

 

野球肘の分類

野球肘の分類

野球肘は、主に3つのタイプに分けられます。どのタイプかによって、治療のやり方やリハビリの内容が変わってくるので、自分の野球肘がどのタイプなのかをしっかり知ることがとても大切です。

① 内側型(内側上顆炎・内側側副靱帯損傷など)

  • ひじの内側、つまり体の中心に近いほうに痛みが出ます。

  • ボールを投げようと腕を加速させる時に痛みを感じやすいです。

  • 体が成長している子どもの場合、骨の成長部分(骨端線)が傷ついたり、骨と軟骨が一緒にはがれてしまったりする(骨軟骨損傷)危険性もあります。

② 外側型(離断性骨軟骨炎=OCDなど)

  • ひじの外側、つまり体の外側に痛みを感じます。

  • このタイプの野球肘では、ひじの骨と軟骨の一部がはがれてしまう病気(離断性骨軟骨炎=OCD)が多いです。

  • ひどくなると、ただキャッチボールをするだけでも痛みが出ることがあります。

③ 後方型(後方インピンジメント、滑膜炎など)

  • ボールを投げ終わって腕を振り切った時に、ひじの後ろ側に痛みが出ます。

  • ひじをまっすぐに伸ばしにくくなったり、ひじを動かせる範囲が狭くなったりしやすいです。

 

このように、それぞれの野球肘のタイプによって、治療の方針やリハビリの方法が異なります。そのため、専門家による正確な検査と、どのタイプかをしっかり見極めることが非常に重要になります。

アーク鍼灸整骨院の施術・アプローチ

野球肘に特化した専門対応

アーク鍼灸整骨院では、「野球肘」の改善と再発予防のために、経験豊富な国家資格者による詳細な動作分析と原因評価を最重視し、個別性の高い施術を提供しています。

【1】人の目と手による“本質的な原因の見極め”

野球肘の痛みは、「肘そのものの使いすぎ」だけでなく、肩関節・体幹・股関節・下肢など、身体全体の動作連鎖の乱れが根本原因であることが多くあります。

当院では、スポーツ現場や臨床経験豊富な柔道整復師・鍼灸師・理学療法士が中心となり、

  • 投球フォームの特徴とエラーの分析

  • 肩甲骨・体幹・股関節の可動域や安定性の評価

  • 身体の連動性(コーディネーション)の検査

  • 筋力・柔軟性のアンバランスの確認

などを行い、「なぜ肘に負担が集中しているのか?」を徹底的に洗い出します。

また、AI姿勢分析ツールもサポートツールとして活用し、患者様自身にも動作の問題点を「見える化」することで、納得度の高い施術プランを立てることができます。

 


【2】痛みを軽減し、回復を促す多角的な施術

野球肘は「内側型(靭帯や腱の炎症)」「外側型(関節軟骨や離断性骨軟骨炎)」「後方型(肘頭疲労性障害)」などタイプが多岐にわたります。

アーク鍼灸整骨院では、タイプ別の原因に応じて、多角的かつ効果的な施術メニューを組み合わせて対応します。

骨格×深層筋調整

投球時の過剰な動きや筋緊張によって硬くなった首・肩・肩甲骨周囲の筋肉を調整し、肘への負担分散を図ります。腰への施術

鍼灸治療(炎症の鎮静と血流改善)

局所の痛みや筋緊張が強い場合は、**肘関節周囲のツボや筋に対して鍼灸を実施。**痛みを和らげ、自然治癒力を引き出します。

ハイボルテージ・超音波治療

深部組織の炎症や損傷に対して、**高周波・超音波機器を用いて早期回復を促進。**プロ選手も活用する先進機器です。

テーピングサポート

投球時の関節安定性を高め、可動域を守るためのスポーツテーピングでサポート。練習・試合にも対応できます。


【3】フォーム改善と予防のための運動指導

野球肘の再発防止には、「身体の正しい使い方を習得すること」が何より重要です。

当院では、ピラティス資格者による動作改善トレーニングや、アスレティックトレーナーによる指導を通じて、以下のような運動療法を提供します。

  • 肩甲骨・体幹・股関節の連動性アップ

  • 投球フォームの修正に必要なコアトレーニング

  • 柔軟性と筋力のバランス調整

  • 再発しないフォームへの動作学的アプローチ

AI姿勢分析のデータも活用しながら、一人ひとりに合わせた改善メニューを設計し、肘に頼らない投球動作を定着させていきます。


【4】南九州市・枕崎市・指宿市・南さつま市の野球少年・選手に多数対応

アーク鍼灸整骨院には、南九州市(川辺・知覧・頴娃)をはじめ、枕崎市・指宿市・南さつま市から、小学生〜高校生の野球選手や部活動生が多く来院されています。

成長期の骨や関節に配慮した施術で、未来ある選手の大切な肘を守ります。


【5】完全予約制・スポーツ障害に強い治療院

  • 国家資格者(柔道整復師・鍼灸師)常駐

  • 理学療法士・アスレティックトレーナー・ピラティスインストラクターが在籍

  • スポーツ現場に精通したスタッフがサポート

  • 保険適用可能(症状による)・交通事故対応

  • 完全予約制で待ち時間なし

スポーツ障害・野球肘に関するお悩みは、早期対応が鍵です。

「違和感がある」「投げにくい」と感じたら、すぐにご相談ください。

執筆者:アーク鍼灸整骨院 院長 坂元 大海

アーク鍼灸整骨院 院長 坂元 大海

理学療法士・はり師・きゅう師・柔道整復師・日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーの資格を持ち、これまでの経験・実績を基に情報を発信し、少しでも多くの方の助けになるよう努めている。

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