胸郭出口症候群
- 電車やバスでつり革を持つと、腕がしびれてくる
- デスクワーク中、肩から指先にかけて重だるさを感じる
- 腕や手が冷たく、むくんでいるように感じる
- 重い荷物を持つと、肩や腕に痛みやしびれが出る
- しびれや感覚の鈍さで、細かい作業がしにくい

腕から指先にかけてのしびれ、鉛のようなだるさ、そして手のむくみや冷え。これらの不快な症状が続いているなら、それは「胸郭出口症候群(きょうかくでぐち症候群)」かもしれません 。
この記事では、胸郭出口症候群の専門家が、その原因から症状、そして具体的な治療法までを、Q&A形式で分かりやすく解説します。この記事を読めば、あなたの悩みの原因を正確に理解し、根本的な改善に向けた第一歩を踏み出すことができます。
つらい症状を「いつものこと」と諦める前に、まずはご自身の状態を正しく知ることから始めましょう。
Q1. 腕のしびれの原因「胸郭出口症候群」とは何ですか?
A1. 胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)を一言でいうと、「首の付け根にある大切な神経や血管の通り道が狭くなって、腕や手にしびれや痛みが出てしまう状態」のことです。野球のボールを投げすぎたり、スマホを長時間見たりすることで起こりやすくなる、意外と身近な体のトラブルなんですよ。
私たちの体には、首の付け根から腕や手に向かって、電気信号を送るための神経の束(たくさんの電線のようなもの)と、栄養や酸素を運ぶための太い血管が通っています。この神経と血管が通る「胸郭出口」というトンネルのような狭いスペースがあります。胸郭出口症候群は、この大切なトンネルが、筋肉が硬くなったり、姿勢が悪くなったりすることで狭くなり、中の神経や血管が押しつぶされてしまう(圧迫されてしまう)ことで起こるんです。
神経や血管が圧迫される主な原因
神経や血管が圧迫されてしまう原因のほとんどは、毎日の生活の中での体の使い方や、無意識のクセに隠されています。自分では気づきにくい小さなことの積み重ねが、症状を引き起こす大きな原因になることがあるんです。
不良姿勢
例えば、授業中に背中を丸めていたり、家で長時間スマホをうつむいて見ていたりすると、頭が前に出て猫背やストレートネックという状態になります。この姿勢は、首や肩の筋肉に大きな負担をかけ、胸郭出口というトンネルを狭くしてしまう一番の原因になります。
筋肉の過緊張
部活動などで腕をたくさん上げる動作、例えば野球のピッチングやバレーボールのアタックなどを繰り返すと、首や肩まわりの筋肉が鍛えられて硬く、太くなります。また、美容師さんのように腕を上げたまま作業するお仕事も同じです。硬くなった筋肉がパンパンに張ることで、すぐ下にある神経や血管の通り道を圧迫してしまうことがあります。
身体的特徴
人によっては、生まれつき肩が下がっている「なで肩」の人がいます。なで肩の人は、鎖骨と一番上の肋骨のすき間がもともと狭い傾向にあるため、少しの負担でも神経や血管が圧迫されやすいという特徴があります。
外部からの圧迫
通学で使う重いリュックサックや、片方の肩にかけるショルダーバッグも要注意です。バッグのベルトが鎖骨のあたりをぐーっと押し続けることで、体の外側から胸郭出口を圧迫してしまい、しびれや痛みの原因になることがあります。
圧迫によって現れる主な症状
症状の出方は、神経と血管、どちらがより強く圧迫されているかによって変わってきます。これは、庭の水まきで使うホースをイメージすると分かりやすいです。ホースを軽く踏むと水の出方が弱々しくなり、強く踏むと完全に止まってしまいますよね。それと同じようなことが体の中で起きているんです。
神経が圧迫された場合の症状(神経症状)
- 腕から小指側にかけての「ジンジン」「ビリビリ」するしびれ
- ペンが持ちにくい、ボタンがかけにくいといった巧緻運動障害(細かい作業の困難)
- 触られた感覚が鈍くなる感覚障害
血管が圧迫された場合の症状(血管症状)
- 腕全体の鉛のような重さ、だるさ
- 手のむくみ(浮腫)
- 腕や手の血色が悪くなる、白っぽくなる
- 触れると明らかに冷たいと感じる
もし「自分もそうかも?」と思ったら、まずは「トンネルのどこで(場所)」「何が(原因)」神経や血管を圧迫しているのかを、専門家と一緒に正確に見つけることが、つらい症状を解決するための最も大切な第一歩になります。原因が分かれば、正しい対策を立てることができるからです。
Q2. 胸郭出口症候群には、どのような種類がありますか?
A2. 腕のしびれや痛みを引き起こす「犯人」がいる場所や、その原因によって、胸郭出口症候群は大きく4つのタイプに分けられます。どのタイプかによって、解決策も変わってくるので、「本当の原因はどれだろう?」と正しく見分けることが、改善への一番の近道になります。
それでは、胸郭出口症候群を引き起こす「4つの主な犯人」のタイプを、一つずつ見ていきましょう。
斜角筋症候群(しゃかくきんしょうこうぐん)
原因
首の横にある「斜角筋」という筋肉が、勉強やスマホの使いすぎでガチガチに硬くなることが原因です。硬くなった筋肉が、すぐそばを通っている神経や血管をギュッと締め付けてしまうのです。特に、うつむいた姿勢でスマホを長時間見続ける「スマホ首」は、この筋肉に大きな負担をかけてしまいます。
特徴
胸郭出口症候群の中で、このタイプが原因であることが圧倒的に多い、いわば「最もよくある犯人」です。
肋鎖症候群(ろくさしょうこうぐん)
原因
鎖骨と、その下にある一番上の肋骨(第1肋骨)との間のすき間は、もともと狭い通り道です。このすき間がさらに狭くなることで、まるでハサミのように神経や血管をパチンと挟んでしまうのが、このタイプです。
特徴
生まれつき肩が下がっている「なで肩」の人は、このすき間が狭くなりやすいです。また、教科書がたくさん入った重いリュックを毎日背負うことでも、鎖骨が下に押し下げられて圧迫の原因になります。
過外転症候群(かがいてんしょうこうぐん) / 小胸筋症候群
原因
「過外転」とは、腕を肩より高い位置に上げ続けることです。このポーズをとり続けると、胸の奥深くにある「小胸筋」という筋肉が、下を通る神経や血管をぐっと引っ張ったり、圧迫したりしてしまいます。
特徴
寝るときに無意識にバンザイの形で腕を上げてしまうクセがある人や、野球のピッチング、バレーボールのスパイクのように、腕を大きく振り上げる動きを何度も繰り返すスポーツをしている中高生に起こりやすいのが特徴です。
頚肋症候群(けいろくしょうこうぐん)
原因
これは少し特別で、生まれつき首の骨(頚椎)から、普通はないはずの短い肋骨のような骨(頚肋)が伸びてしまっていることが原因です。この余分な骨が、神経や血管の通り道を邪魔して狭くしています。
特徴
毎日の生活のクセや習慣が原因ではなく、生まれ持った骨の形が原因なので、非常に珍しいケースです。レントゲンを撮ることで初めて分かることがほとんどです。
これらの原因を見てみると、珍しい骨の形を除いて、その多くは毎日の姿勢のクセ、テストや部活などでの精神的なストレス、夜更かしなどの生活習慣の乱れといった、日々の小さなことの積み重ねが引き金になっていることが分かります。自分の症状がどのタイプに当てはまりそうかを知り、普段の生活を少し見直してみることが、つらい症状を改善するための大切な一歩になりますよ。
Q3. 胸郭出口症候群は、どのように治療するのですか?
A3. 当院では、ただ痛いところをマッサージするだけ、といったその場しのぎの治療は行いません。まずつらい症状を落ち着かせ(初期治療)、次に症状がぶり返さない体を作り(根本改善)、最後にその良い状態を保つ(メンテナンス)という、ゴールに向けた3つのステップで計画的に治療を進めていきます。
一人ひとり身長や体重、生活習慣が違うように、あなたの体の状態も他の人とは違います。だからこそ、私たちはあなたの体に合わせた「オーダーメイド(特注)」の治療計画を立て、症状の根本的な改善を本気で目指します。
ステップ1:症状の鎮静化(初期集中治療)
まず何よりも、今あなたが感じている腕のジンジンするしびれや、鉛のように重い痛みを、一日でも早く楽にすることを最優先します。そのために、「ハイボルト電気治療」という特別な電気で炎症をズバッと抑えたり、「鍼灸治療」で血の巡りを良くして体が本来持っている「治る力」を引き出したり、専門家の手で筋肉や骨格を整える「マニュアルセラピー」を組み合わせ、多方面から症状を落ち着かせます。特に鍼灸治療は、しびれの大元である筋肉の奥深くの硬い部分(トリガーポイント)に直接アプローチできるので、早期改善にとても効果的です。
ステップ2:根本原因の改善と再発予防
つらい症状が落ち着いてきたら、次が本当の勝負です。「なぜ、そもそも胸郭出口症候群になってしまったのか?」という根本的な原因と向き合い、症状が二度と出てこないための、強くてしなやかな体づくりを始めます。
運動療法
体の専門家が、あなたにぴったりのストレッチやエクササイズをマンツーマンで丁寧に指導します。これにより、首や肩まわりの動きがスムーズになり、無意識のうちに身についてしまった悪い姿勢のクセをリセットしていきます。
インナーマッスル強化
正しい姿勢を保つためには、体の中心で背骨を支える「インナーマッスル(体幹の筋肉)」が不可欠です。当院では、医療用の特別なEMS機器を使って、自分では鍛えにくい体の奥深くの筋肉を、寝ているだけで効率的に強化します。これにより、勉強やスポーツの負担に負けない、安定した体の土台を築き上げます。
ステップ3:良好な状態の維持(メンテナンス)
症状がすっかり良くなった後も、その快適な状態を長く保つために、定期的な体のケアをおすすめしています。部活や勉強など、日々の生活でどうしても出てきてしまう体の小さな歪みを、月に1〜2回のマニュアルセラピーでリセットします。これにより、トラブルが再発しにくい理想的なコンディションをキープできます。

もし、南九州市・枕崎市・指宿市・南さつま市やその周りの地域にお住まいで、「もしかして、この腕のしびれは胸郭出口症候群なのかな…」と一人で悩んでいたり、他の病院や治療院に行ったけれど良くならなかったりした方も、どうか諦めないでください。まずは一度、アーク鍼灸整骨院へご相談ください。私たちが専門家として、あなたの「治りたい」という強い気持ちに、全力で向き合い、サポートします。
福岡で胸郭出口症候群でお困りの方はアーク鍼灸整骨院で胸郭出口症候群治療をご相談ください。
🧍 胸郭出口症候群に関するQ&A
Q1:胸郭出口症候群とは何ですか?どんな症状が出ますか?
A1 ① 結論 胸郭出口症候群は、首の付け根から胸郭(鎖骨と第一肋骨の間)の狭い出口を通る神経や血管が圧迫されることで、首、肩、腕、指先に痛みやしびれ、だるさが出る症状です。
② 理由・メカニズム 「胸郭出口」と呼ばれるこの狭いトンネルは、斜角筋(首の筋肉)や鎖骨と肋骨などに囲まれています。猫背などの不良姿勢、なで肩、あるいは首の筋肉の過緊張により、このトンネルが狭くなり、中を通る腕神経叢(わんしんけいそう)や鎖骨下動脈が締め付けられます。神経が圧迫されるとしびれや痛み、血管が圧迫されると腕の冷感やだるさといった症状が現れます。
③ 改善のための具体的対策 重い荷物を片方の肩にかける習慣をやめましょう。特にショルダーバッグやリュックサックは、両肩で均等に持つようにしてください。また、寝る時の枕が高すぎないかチェックし、首の緊張を避けるようにしましょう。
④ 専門院での治療アプローチ 専門院では、圧迫の原因となっている首周りの筋肉(特に斜角筋)や肩甲骨周囲の緊張を緩和する手技を重点的に行います。また、猫背や巻き肩といった姿勢の根本原因に対し、胸郭・背骨の矯正を行い、神経の通り道を広げ、症状の軽減を目指します。
Q2:胸郭出口症候群と頚椎ヘルニア(首のヘルニア)との違いは何ですか?
A2 ① 結論 胸郭出口症候群と頚椎ヘルニアは症状が似ていますが、しびれの誘発動作と、血管症状(冷え・色調変化)の有無で鑑別できます。
② 理由・メカニズム
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頚椎ヘルニア: 首を後ろに反らせたり、横に倒したりしたときに、神経の根元が直接圧迫されてしびれが悪化しやすいです。血管症状は通常伴いません。
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胸郭出口症候群: 腕を上げる動作や、重い荷物を持つなど、鎖骨や肋骨が動く動作で血管や神経が圧迫されて症状が悪化しやすいのが特徴です。また、血管圧迫による**腕の冷えや、手の色の変化(蒼白など)**を伴うことがあります。
③ 改善のための具体的対策 両手を挙げて「万歳」の姿勢を30秒間キープしてみましょう。この動作でしびれや腕のだるさが強くなる場合は、胸郭出口症候群の可能性が高いです。その際は、腕を頭より上に上げる動作を意識的に控えましょう。
④ 専門院での治療アプローチ 鑑別を明確にするため、徒手検査(ライトテスト、アドソンテストなど)を詳細に行います。その上で、頚椎ヘルニアではないと判断された場合は、首や肩甲骨、肋骨といった胸郭出口周辺の関節の動きを改善させ、神経・血管への負担を軽減する施術を集中的に行います。
Q3:なで肩や猫背は、胸郭出口症候群にどう影響しますか?
A3 ① 結論 **なで肩や猫背(巻き肩)**といった不良姿勢は、胸郭出口を物理的に狭くするため、神経や血管の圧迫を強め、症状発生の主要な原因となります。
② 理由・メカニズム
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なで肩: 鎖骨が下がり、第一肋骨との間隔が狭くなります(肋鎖症候群)。また、常に首の筋肉(斜角筋)が引き伸ばされて緊張しやすくなります。
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猫背・巻き肩: 肩が前に出ることで、鎖骨や肩甲骨の位置が前にずれ、出口の構造が変化して神経や血管が走行するスペースを圧迫します。
③ 改善のための具体的対策 デスクワーク中は、背筋を伸ばし、肩甲骨を軽く後ろに引いた状態を意識しましょう。肘掛けを使って腕の重さを支えることで、首や肩への負担を大幅に軽減できます。
④ 専門院での治療アプローチ 当院では、首の筋肉の緊張緩和だけでなく、胸郭の可動性回復に重点を置いた矯正を行います。特に、巻き肩の原因となる胸の前面の筋肉(小胸筋)や背骨(胸椎)の柔軟性を取り戻す施術を行い、正しい姿勢を維持しやすい状態を作ります。
Q4:胸郭出口症候群の痛みを和らげる、自宅でできるストレッチは?
A4 ① 結論 胸郭出口症候群の痛みを和らげるには、硬くなった首の筋肉(斜角筋)と、縮こまった胸の筋肉(小胸筋)を優しく伸ばすストレッチが効果的です。
② 理由・メカニズム 斜角筋は神経の通り道を直接囲んでいるため、ここを緩めることは神経圧迫の軽減に直結します。また、猫背の原因となる小胸筋を伸ばすことで、巻き肩が改善し、間接的に胸郭出口のスペースを広げる効果が期待できます。
③ 改善のための具体的対策 斜角筋ストレッチ:背筋を伸ばして座り、片手で椅子を掴み、頭を反対側の斜め後ろへ優しく倒します。20〜30秒間キープし、引っ張られている感覚(痛みではない)を感じる程度に留めます。小胸筋ストレッチ:ドアの枠に肘を90度に曲げて手を置き、体を前に出すようにして胸の筋肉を伸ばします。
④ 専門院での治療アプローチ 専門院では、徒手療法で斜角筋や小胸筋の深部のトリガーポイントを正確に緩めた上で、正しいストレッチの角度と強度を指導します。さらに、神経の滑走性を高めるための**安全な神経ストレッチ(ナーブグライディング)**も指導します。
Q5:胸郭出口症候群の治療期間はどのくらいかかりますか?
A5 ① 結論 胸郭出口症候群の治療期間は、症状の重さや原因、そして日常生活での姿勢改善努力によって大きく異なりますが、一般的に3ヶ月〜6ヶ月を目安に改善を目指します。
② 理由・メカニズム この症候群は、長年の不良姿勢や体の使い方の癖が積み重なって発症するため、単に筋肉を緩めるだけでなく、骨格や姿勢の根本的な習慣を変える必要があります。組織の修復と正しい姿勢の定着には時間がかかるため、焦らずに継続的な施術とリハビリが不可欠です。
③ 改善のための具体的対策 自宅でのセルフケアと姿勢の意識を毎日続けることが、治療期間を短縮する鍵となります。特に症状が安定してきた後も、体幹や肩甲骨周りの筋力強化を継続し、姿勢を維持する力をつけることが再発予防に繋がります。
④ 専門院での治療アプローチ 当院では、初めの集中的な治療期間で痛みを軽減した後、姿勢の安定化を目的としたリハビリ期間へ移行します。定期的な骨格チェックと、日常生活の改善指導を通じて、症状が再発しない体づくりを長期的にサポートします。






