変形性股関節症

  • 歩くたびに痛みがある
  • 湿布や痛み止めでは中々良くならない
  • 適切な治療をどこで受ければいいかわからない
  • できれば手術はしたくない
  • 健康に長生きしたい

変形性股関節症とは?

変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)は、股関節の軟骨がすり減り、関節の変形や炎症を引き起こす疾患です。初期のうちは違和感や軽い痛みから始まりますが、進行すると歩行時や階段の昇降時に強い痛みを感じ、日常生活に支障をきたすことがあります。

1. 病態

股関節は大腿骨の骨頭と、骨盤の寛骨臼(かんこつきゅう)で構成されており、関節軟骨がクッションの役割を果たしています。しかし、加齢や過度の負荷によって軟骨が摩耗すると、骨同士が直接こすれ合い、炎症や変形が生じます。

初期の段階では、関節内に炎症が生じ、股関節周囲に痛みが現れます。中等度に進行すると、軟骨の摩耗が進み、関節の隙間が狭くなり、骨棘(こつきょく)と呼ばれるトゲ状の骨が形成されます。末期になると、軟骨がほとんど消失し、骨同士がぶつかることで強い痛みが生じるほか、関節の可動域が著しく制限されます。

変形性股関節症は、以下の2種類に分類されます。

  • 一次性変形性股関節症:加齢や遺伝的要因により発症するもの。
  • 二次性変形性股関節症:発育性股関節形成不全や関節リウマチ、外傷などが原因で発症するもの。

2. 原因

変形性股関節症の主な原因には以下のようなものがあります。

加齢

加齢とともに軟骨が摩耗しやすくなり、関節の変形が進行します。特に50歳以上の女性に多くみられます。

股関節の発育不全

生まれつき股関節が浅い「発育性股関節形成不全」の方は、関節の負担が大きくなりやすく、変形性股関節症を発症しやすいとされています。特に日本人女性に多いとされています。

肥満

体重が増加すると股関節への負担が大きくなり、軟骨の摩耗を早める可能性があります。BMIが高いほど、変形性股関節症のリスクが増大するとされています。

過度な運動・姿勢

長年にわたり股関節に負荷のかかるスポーツを行っていた方や、不適切な姿勢で生活している方も発症リスクが高くなります。また、足を組む癖や片脚重心の姿勢が股関節の左右差を生み、変形を助長することがあります。

3. 治療法

アーク鍼灸整骨院では、以下の治療法を組み合わせることで、変形性股関節症の症状緩和と機能回復を目指します。

① 骨格・深層筋調整

股関節の負担を減らすために、骨盤の歪みを整え、股関節周囲の深層筋(インナーマッスル)を調整します。股関節だけでなく、腰椎や膝関節との連動性を考慮したアプローチを行います。筋膜リリースを併用することで、筋肉の緊張を緩和し、可動域の改善を図ります。矯正

② 鍼灸

鍼灸治療は、ツボを刺激することで血流を促進し、炎症の軽減や痛みの緩和を目的とします。特に股関節周囲の筋肉が硬直している場合、鍼治療によって筋緊張を和らげ、関節の動きをスムーズにする効果が期待できます。東洋医学的観点から「腎経(じんけい)」の経絡を調整し、関節の機能回復を促進します。

③ ハイボルテージ治療

高電圧の電流を用いて深部の組織にアプローチし、痛みの軽減や炎症の抑制を行います。即効性が高く、関節内部の炎症を抑える効果があるため、痛みが強い患者様に適した治療法です。ハイボルテージ治療は、神経の興奮を抑えることで痛みを軽減し、運動療法への移行をスムーズにします。

④ EMS(電気的筋肉刺激)

EMSを用いることで、股関節周囲の筋肉を効率的に鍛え、関節の安定性を向上させます。特に中殿筋や大腿四頭筋の筋力低下が見られる場合、EMSを活用することで、股関節のサポート力を強化し、歩行時の負担を軽減します。

⑤ ピラティス(運動療法)

股関節の動きを改善し、全身のバランスを整えるために、ピラティスを取り入れた運動療法を行います。特に、

  • 骨盤の安定性を高めるエクササイズ

  • 股関節の可動域を広げるストレッチ

  • 体幹強化による関節負担の軽減 などを指導し、患者様一人ひとりに合わせたリハビリプログラムを作成します。ストレッチ

4. よくある質問

Q1. 変形性股関節症は自然に治りますか?

A. 軟骨がすり減ってしまった場合、自然に再生することはありませんが、適切な治療を行うことで痛みの軽減や生活の質を向上させることが可能です。

Q2. 股関節の痛みがある場合、どのような運動が適していますか?

A. 負担の少ない水中ウォーキングやストレッチ、ピラティスなどが推奨されます。アーク鍼灸整骨院では、専門的な指導のもと、股関節を守るエクササイズを提供しています。

Q3. どのような場合に手術が必要になりますか?

A. 強い痛みで日常生活が困難な場合や、関節の変形が進行している場合は、医師と相談の上で手術が検討されます。

参考文献・引用元

  1. 日本整形外科学会「変形性股関節症」

  2. 厚生労働省e-ヘルスネット「変形性関節症」

  3. 日本理学療法士協会「変形性股関節症に対する運動療法の効果」

 

執筆者:アーク鍼灸整骨院 院長 坂元 大海

アーク鍼灸整骨院 院長 坂元 大海

理学療法士・はり師・きゅう師・柔道整復師・日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーの資格を持ち、これまでの経験・実績を基に情報を発信し、少しでも多くの方の助けになるよう努めている。

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