【症例報告13】野球肘の原因は「肘」にない?枕崎市・中学2年の野球少年が全力投球を取り戻すまでの症例報告

2026年01月20日

🧍‍♀️ 患者様情報

  • 年齢・性別: 14歳(中学2年生)・男性

  • 居住地: 鹿児島県枕崎市

  • 職業/生活背景: 中学校野球部(ピッチャー)

  • 症状の経過: 1ヶ月前から投球時、特にボールを離す瞬間に肘の内側に痛み。練習を休むと引くが、投げると再発する。

  • 通院頻度: 週2回(スポーツ整体+保険診療)

🌷 ご来院のきっかけ

「肘をかばって全力で投げられない……」

枕崎市からご来院いただいたA君は、チームのピッチャー。

1か月ほど前から投球時に肘の痛みを感じ始め、練習を重ねるごとに不安が強くなっていました。

病院で野球肘と診断を受け、安静を勧められましたが、「ただ休むだけでなく、痛くなる原因を知りたい」「将来も野球を続けたい」という想いから、当院を受診されました。

無理に投げ続けることは、目の前の試合だけでなく、今後の競技人生に大きな影響を及ぼす可能性があります。A君のご両親はその点も理解したうえで、痛みの原因を見てもらえる場所を探し、当院に来院されました。

🔍 検査結果と症状の特徴

触診では肘の内側側副靱帯付近に炎症所見(圧痛)が認められました。しかし、医学的な視点(運動連鎖)で全身をチェックしたところ、肘にストレスを集中させている「問題」が浮き彫りになりました。

特に、「股関節の硬さ」と「体幹の不安定さ」が原因で、下半身の力が上半身へ伝わらず、肘の力だけに頼って加速させる「手投げ」**の状態が、組織の限界を超えさせていたのです。

姿勢・アライメント評価

当院では、関節ごとに必要な役割(可動性か安定性か)を整理して評価しました。

  • 可動性(Mobility)の低下:

    • 股関節: 回旋の動きが極めて硬く、投球時の「体のひねり」が使えていない。

    • 肩甲骨: 胸郭(背中)の動きが硬く、肩甲骨がスムーズに連動しないため、肘を無理にしならせて代償している。

  • 安定性(Stability)の低下:

    • 体幹(コア): 踏み込んだ瞬間に腹圧が抜けるため軸がブレ、下半身からのパワーがボールに伝わる前にロスしている。

  • 代償パターン(手投げ・肘下がり)

    下半身と体幹が十分に機能しない分を、腕の振りだけで補おうとする「手投げ」の状態が繰り返されていました。

    その結果、リリース直前に
    肘が下がる投球フォーム(肘下がり)が生じ、肘の内側に過剰な牽引ストレスが集中する状態となっていました。

施術内容

🔹 ハイボルテージ+手技療法(筋膜・骨格調整)

ハイボルテージ等の物理療法で肘の炎症を鎮めつつ、原因となっている股関節周りや肩甲骨・胸郭の筋膜をリリース。特に、下半身の粘りを作るために「腸腰筋」と「お尻周りの筋肉」を重点的に調整しました。

運動療法・ピラティス

自分の体を正確に操ることを目的とした、自重による機能改善エクササイズを実施しました。

  • 運動療法(デッドバグ・バードドッグ等)

     呼吸と動作を連動させながら腹圧を高め、投球動作に必要な体幹の安定性を獲得。

  • 股関節のモビリティドリル

     軸足での回旋動作をスムーズにするため、自重による股関節回旋エクササイズを実施。

  • 連動性エクササイズ

     股関節と肩甲骨の動きを連動させ、上半身と下半身をつなぐ動作パターンを再学習し、肘への負担を分散。

  • 肩甲骨の可動性拡大を目的としたストレッチ指導

     肩甲骨の動きを制限していた大胸筋・前鋸筋に対するストレッチを行い、肩甲帯全体の可動性を向上。

  • 下半身の柔軟性向上を目的としたストレッチ指導

     投球時の踏み込みと回旋動作を妨げていたハムストリングスおよび大腿四頭筋に対し、自宅でも継続可能なストレッチを指導しました。

生活・姿勢指導

スマホ首が肩甲骨の動きを止めていたため、日常の姿勢指導と、自宅で毎日5分でできる「体幹トレーニング」「股関節の動的ストレッチ」を指導しました。

🌿 改善の経過

回数 身体変化・患者様の体感/練習内容
初回 肩甲骨の動きが改善し、腕を上げた際の引っかかり感が軽減。肘の炎症を考慮し、投球は完全ノースローとし、下半身・体幹中心のコンディショニングを実施。
3回目 股関節の柔軟性が向上。日常動作で肘の違和感が大きく減少。バッティング練習、ランニング、体幹トレーニングを再開。
6回目 体幹の安定性が高まり、「手投げ」が改善傾向。塁間程度のキャッチボール(強度を抑えた投球)を許可し、下半身主導で投げられる感覚が出現。
8回目前後 股関節と肩甲骨の連動性が安定。遠投を段階的に再開し、投球距離・球速をコントロールしながらフォーム確認を実施。
10回目 痛み・不安感ともに消失。全力投球を再開し、以前より重心が低く安定したフォームを獲得。試合復帰に向けた最終段階へ。

💬 患者様の声

「肘を休めるだけじゃ治らない理由がよく分かりました!エクササイズやストレッチを続けています。おかげで今は痛みの再発もなく、不安なく投げられるようになりました。


① 野球肘の概要と医学的背景

野球肘は、特に骨の成長期にある中学生投手に多く、過度な投球や不良なフォームが主原因です。厚生労働省や日本整形外科学会の知見でも示されている通り、初期は違和感程度ですが、放置すると内側側副靱帯の損傷や骨端部の剥離(剥離骨折)など、将来にわたる重篤な障害を招く恐れがあります。肘の痛みは単なる使いすぎだけでなく、全身の機能不全を知らせるサインとして捉えることが重要です。

② 原因:なぜ「下半身」が使えないと肘が痛むのか?

医学的には、投球は「運動連鎖」で成り立っています。

  1. 股関節の回旋制限: 股関節が硬いと、地面を蹴ったエネルギーを回転の力に変えられません。

  2. 体幹の不安定性: 腹圧が弱いと、下半身からのパワーが上半身へ伝わる前に「漏れて」しまいます。

  3. 肩甲骨の可動性低下: 肩甲骨が動かないと、肩関節と肘だけで腕を振らざるを得ません。 これらが重なると、不足したエネルギーを補うために、末端である肘を無理に振り回す「手投げ」になります。この**「上流の機能不全による代償作用」**こそが、肘の内側靭帯に過剰なストレスをかける真の原因です。

③ アーク鍼灸整骨院の施術・アプローチ

当院では、「肘をみる」だけでなく「動作の質」を向上させることで根本改善を目指します。

  • AI姿勢分析(客観的評価): 最新のAI姿勢推定技術を用い、静止時と動作時の課題を可視化。現在のフォームがどこでエネルギーをロスしているかを共有し、納得感のあるリハビリを進めます。

  • 骨格×深層筋調整(柔道整復師・鍼灸師の手技): 国家資格保持者が解剖学に基づき、深層筋へアプローチ。関節可動域を広げ、スムーズな連動性を阻害している「筋の緊張」を取り除きます。

  • 機能改善トレーニング: 自重をコントロールするトレーニングを行います。投球障害予防に有効とされる「体幹の安定」と「股関節の回旋」を同時に養い、怪我に強い体を作ります。

  • スポーツ専門のパーソナルケア: 柔道整復師や鍼灸師に加え、理学療法士的な知見を持つスタッフが、部活動の練習メニューに合わせた最適な復帰プログラムを提案します。

④ Q&A

Q:完治までどのくらいかかりますか?

A:組織の炎症は2〜3週間で落ち着くことが多いですが、再発を防ぐためのフォーム修正(体作り)を含めると、1〜2ヶ月程度の継続通院をおすすめしています。

Q:保険は使えますか?

A:明確な負傷原因(投球中に痛めた等)がある場合は健康保険の適用が可能です。慢性的な疲労やコンディショニング向上については自費診療となります。

Q:どんな服装で行けばいいですか?

A:運動を行いますので、部活動の練習着やジャージ、ハーフパンツなど、動きやすい服装でお越しください。

⑤ まとめ

肘の痛みは「肘そのもの」だけを治療しても、原因となる体の使い方が変わらなければ再発します。 南九州市、枕崎市、指宿市、南さつま市で野球肘やスポーツの怪我にお悩みの方は、ぜひアーク鍼灸整骨院へご相談ください。AI分析と医学的な運動療法で、痛みを超えたベストパフォーマンスを一緒に作り上げましょう!


参考文献・引用元:

  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「スポーツ障害」

  • 日本整形外科学会「野球肘」

  • Wilk KE et al., “The Kinetic Chain in Overhead Athletes.” (JOSPT, 2022)


 

執筆者:アーク鍼灸整骨院 院長 坂元 大海

アーク鍼灸整骨院 院長 坂元 大海

理学療法士・はり師・きゅう師・柔道整復師・日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーの資格を持ち、これまでの経験・実績を基に情報を発信し、少しでも多くの方の助けになるよう努めている。

詳しくはこちら