股関節唇損傷

股関節唇損傷とは?

股関節唇損傷とは、大腿骨と骨盤をつなぐ関節である股関節の周囲にある「関節唇(かんせつしん)」と呼ばれる軟骨組織が損傷する状態を指します。関節唇は、股関節の安定性を高め、関節内の圧力を適切に保つ役割を果たしています。しかし、この組織が傷つくと、痛みや可動域の制限が生じ、日常生活やスポーツ活動に支障をきたすことがあります。

股関節唇の損傷は、完全に断裂する場合もあれば、部分的な損傷で済む場合もあります。初期段階では軽い痛みや違和感程度ですが、悪化すると歩行困難や股関節の引っかかり感が生じることがあります。

主な症状

  • 股関節の奥深い部分の痛み

  • 動作時の引っかかり感や詰まり感

  • 股関節を動かしたときのクリック音や違和感

  • 長時間の座位や立位での不快感

  • 痛みによる可動域の制限

 

股関節唇損傷の原因

股関節唇損傷の原因は多岐にわたりますが、以下のような要因が関係しています。

1. スポーツによる負荷

股関節に大きな負担がかかるスポーツ(サッカー、バスケットボール、野球、柔道など)は、股関節唇にストレスを与え、損傷を引き起こす可能性が高くなります。特に、急激な方向転換、ジャンプの着地、激しい接触プレーなどがリスク要因となります。

2. 反復動作や姿勢不良

長時間の座位姿勢や不良姿勢(猫背や反り腰)は、股関節に過度なストレスをかけ、関節唇の損傷につながることがあります。特に、デスクワークや運転時間が長い方は注意が必要です。

3. 先天的な骨格の問題

股関節の形状異常(寛骨臼形成不全や大腿骨頭の変形など)がある場合、股関節唇に持続的なストレスがかかり、損傷しやすくなります。先天的な骨格の問題は、特に女性に多い傾向があります。

4. 加齢や変性

加齢に伴い関節唇の組織が脆弱化することで、小さな負荷でも損傷しやすくなります。これにより、徐々に股関節の痛みや可動域の制限が進行することがあります。

5. 外傷

転倒や交通事故などで強い衝撃が股関節に加わると、関節唇が急激に損傷する可能性があります。この場合、損傷は比較的急激に発生し、痛みが強くなる傾向があります。

 

股関節唇損傷の検査

股関節唇損傷は、症状だけでは判断が難しく、確定診断には画像検査が必要です。主な診断方法は以下の通りです。

1. 徒手診察

医師や柔道整復師が徒手検査を行い、股関節の可動域や痛みの部位、クリック音の有無を確認します。特に「インピンジメントテスト(股関節を曲げて内旋させる検査)」で痛みが誘発される場合、股関節唇損傷が疑われます。

2. レントゲン(X線)検査

レントゲンでは、股関節の骨の異常や形状を確認できますが、関節唇自体は軟部組織のため直接写りません。ただし、骨の変形や関節の隙間の異常が見つかることで、股関節唇損傷の可能性を示唆することができます。

3. MRI(磁気共鳴画像診断)

MRIは、股関節唇損傷の診断に最も有効な画像検査です。特に、造影剤を使用した「MRI関節造影検査」では、より鮮明に関節唇の状態を確認でき、微細な損傷も発見しやすくなります。

4. CT(コンピュータ断層撮影)

CTは、股関節の骨構造の詳細な評価に有効ですが、股関節唇自体の損傷を診断するにはMRIの方が適しています。

股関節唇損傷の施術

アーク鍼灸整骨院では、患者様の症状や状態に合わせた保存療法を提供し、できる限り手術を避ける治療を目指します。主な治療法は以下の通りです。

① 骨格・深層筋調整

股関節唇損傷の多くは、骨盤や股関節のアライメント(整列)が崩れていることが原因となっています。当院では、

  • 骨盤の歪み調整

  • 股関節の可動域改善

  • 深層筋のバランス調整 を目的とした手技療法を行い、関節への負担を軽減します。

また、股関節を支える大腿骨・骨盤の位置を正しく調整することで、関節の負担を最小限に抑え、痛みの軽減と機能回復を目指します。矯正

② 鍼灸

鍼灸治療では、股関節周囲の筋緊張を和らげ、血流を促進し、自然治癒力を高めます。特に、

  • 梨状筋や腸腰筋の緊張緩和

  • 自律神経の調整

  • 炎症の軽減 といった効果が期待できます。

当院では、経験豊富な鍼灸師が、患者様の状態に合わせたツボを選び、痛みの緩和と回復を促進します。

③ ハイボルテージ治療

ハイボルテージ治療とは、高電圧の電流を用いて深部組織へアプローチし、炎症を抑え、痛みを軽減する施術です。特徴として、

  • 即効性のある鎮痛効果

  • 筋肉の過緊張の緩和

  • 神経の興奮を抑える効果 があります。

股関節唇損傷に対しては、炎症が強い初期段階や、急性期の痛みが強い場合に特に有効です。

④ EMS(電気刺激による筋力強化)

股関節周囲の筋力低下は、関節唇損傷の回復を妨げる要因の一つです。EMSを用いた治療では、

  • インナーマッスルの活性化

  • 股関節の安定性向上

  • 筋力低下の防止 を目的とし、効率的に深層筋を鍛えることができます。

⑤ ピラティス(運動療法)

運動療法としてピラティスを取り入れることで、股関節の動きを改善し、痛みを軽減できます。ストレッチ

 

執筆者:アーク鍼灸整骨院 院長 坂元 大海

アーク鍼灸整骨院 院長 坂元 大海

理学療法士・はり師・きゅう師・柔道整復師・日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーの資格を持ち、これまでの経験・実績を基に情報を発信し、少しでも多くの方の助けになるよう努めている。

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